ホームホスピスひさの*終末のあり方

2015.12.13 Sunday 15:14
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    昨年宗像に「ホームホスピスひさの」が誕生しました。



    友人が筑後にディケア施設「ぽれぽれ」を立ち上げたことで「ひさの」の責任者田中好(このみ)さんともご縁が繋がりました。
    私も人生の終末について折に触れ考えることの多い歳になりました。
    果たして自分がどのような終末を迎えるのか分りませんが「死」への終着駅に日一日刻々と近づいていることは確かです。

    玄海の海に繋がる釣川の小さな橋「上多禮橋」を渡り・・・
    釣川.jpg

    まもなくするとこの看板が見えます。
    ひさの看板.jpg



    狭い路地を抜けると「ひさの」があります。大きくて立派なご自宅を改装されて施設に。
    ひさの 正面.jpg

    晩秋の暖かなこの日、田中さんは居住されている方たちのお布団を干されていました。
    玄関先に立つ田中さん
    田中 好(このみ)さん.jpg


    お家も立派ですが庭園もきれい。
    田中さん お庭で.jpg



    「ひさの」で田中さんのお話を伺ったときに私はその信念に動かされ、ぜひブログに載せたいと思いました。
    私が感じることではなくて直接田中さんのお考えを伝えたかったので原稿を依頼したところ、早速届けられましたので原文のまま掲載します。



    **************************************************

    2014年10月、宗像で「ホームホスピスひさの」を開設しました田中好です。
    看護師として働いた病棟勤務や訪問看護の経験を通し、寿命を迎えたお年寄りが、最後まで延命治療を尽くされて行きつく命の終わり方に、やりきれない憤りを感じ、老いや死を自然の摂理として認め、普通の暮らしのなかで引き受けていくことが、安らかで穏やかな最期につながることを確信し、それを実現する場所を作りました。

    「ホームホスピスひさの」は皆さまに支えられ、おかげさまで無事1周年を迎えることができました。この1年で3名の90歳代のお年寄りを、自然な看取りでお見送りすることができました。ご家族もその静かで安らかなお別れを喜んでおられました。入院先の病院で危篤状態といわれた94歳のおばあちゃん。点滴と酸素を外しひさのへやってきました。「のどがかわいた。なんかちょうだい。」とろみをつけたリンゴジュースをひと匙ずつゆっくり飲み込み、「おいしい。ありがとう。うれしい。」ここで1か月と1週間過ごし、旅立たれました。前日の夜は息子さんが隣に布団を敷いて、ひと晩母親の声に耳を傾け、手を握ったり体をさすったりして、共に過ごされました。翌日他の家族が集まるのを待っていたかのように、皆が見守るなか、静かに息をひきとられました。あらためて思います。点滴や酸素マスクや心電図モニターに囲まれた病院死とは全く異なる、なんと静かで穏やかなお別れであることか。死んでいくのに何もいらないなあ。みんな自分のちからで命を終えていく。わたしたちはそれを静かに見守っていればいい。家族、一般市民、そして何より医療従事者に!そのことをわかってほしい、と思います。現在は5名の元気な認知症のお年寄りが暮らしています。ホームホスピスというより、“グループホームホスピス”。スタッフ9名で24時間を支えています。わたしたちの次元とは異なる不思議ワールドで、お年寄りのみなさんは魂で会話されています。泣いて、笑って、怒って。ドタバタ、プンすか、ワハハ。何気ない1日がゆっくり、そしてあっという間に過ぎていきます。なんだか1年も一緒に暮らしていると、みなさんとのお別れの日、しっかりお見送りができるだろうか…という気持ちになります。本当の家族だとこれまた大変。一番近しい他人というのがいい距離感と関係性をつくるのだと思います。

    ぜひみなさん、一度遊びにきてください。住み慣れた地域の、普通の日常生活のなかで、ありのままに老いていくことを支え、最後までともに暮らす。自然な看取りや認知症のお年寄りとの生活から、わたしたちは多くのことを学んでいます。体や心の不具合を安易に医療に丸投げするのではなく、まず生活(食べる、排泄する、眠る)を整える。生身の体と心の声に耳を傾け、生命の法則に沿ったかかわりが、老いていく体に無理なく馴染み、安らかな命の終わりにつながっていくことを実感しています。

    「ホームホスピスひさの」
    〒811−3507 
    福岡県宗像市多禮594
    TEL 0940−62−0576 
        080−1088−2540






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